マトリョーシカ工場(?)

 セルギエフ・パサードにある「АОФИС、(イグルーシキとスヴェニール=玩具と記念品)」という工場です。マトリョーシカを削りだすところから絵付けまで見せてくれます。

 2008年8月14日(木)の記録に、2007年8月4日の記録を併合しました。

 2011年12月4日から少し手を加えています。

 取り急ぎ、この工場のURLを追加しておきます。

 http://www.babybrand.ru/brands/aofis/

 この工場紹介のサイトはリンク切れが多いのですが、メインページを慨訳すると下の様になります。

「 セルギエフ・パサードはロシア伝統玩具の中心地としてよく知られています。
 1947年、ここに家内工業やそれらの協同組合を総合して、「木製玩具」という工場ができました。

 1959年以来工場は「玩具や娯楽品の工場」として知られるようになり、1991年には合資会社「АОФИС(英語=AOFIC)」になりました。
 55年間にわたって工場は、マネキン、木製玩具、張り子、パルプ製品、その他セルロイド、布、皮革等の柔らかい素材による人形などを作ってきました。

 現在、当工場は、学齢期の子供たちのためのプラスチッ製玩や容器を作っています。
 また、伝統的なセルギエフ・パサード様式のマトリョーシカやその他の民芸技術を保存しています。
 さらに、シーツ、衣類等縫製部門でも大きな生産力を持っています。

 55年間、会社は設備拡大と改善に取り組み、ペレストロイカの困難な時代を耐え抜きさらに技術革新を急いでいます。」



 また、グーグル地図で下の住所を打ち込んで検索すると、地図や航空写真を見ることができます。

 141300, Россия, Московская область, г. Сергиев Посад, ул. Фабричная, д. 10

 


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 2007年8月4日、玩具博物館職員が電話で工場見学を予約してくれました。

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 見学は私たちだけかと思っていたら・・・・
 黒いバッグの女性。もう一人見学者がいたようです。
 外国人かロシア人か聞き忘れましたが、女性が一人で見学に来ているということです。

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 通りに面した入り口です。左の鉄扉から入ります。

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 門をくぐると中の敷地は、どこまで広がっているかわからないほど広い。

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 中の工場です。こんな建物がたくさん並んでいます。
 「扉を閉めてください」というようなことが、中国語で書いてありました。
 中国人観光客が多いということでしょうか。

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 まず、旋盤のある、マトリョーシカを削る所へ案内されました。
 とても暗い。
 しかも、窓から光が入りますから、逆光で人は真っ暗になってしまいます。
 フラッシュを焚けば良いのかもしれませんが・・・・
 作業中の人にフラッシュを当てるのは、感覚的に辛抱できないので・・・・

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 仕方がないのでレタッチで画像を引き出しました。
 薪割り機のようなものです。
 乾燥させた木材を割ります。

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 2008年に撮影した電動薪割り機です。
 2007年のものより少しましではないでしょうか。

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 筆者は。子供の頃に薪割りの経験があります。
 冬に備えて、伐採した木材を燃料として適度な大きさに切り揃えて割っておく仕事です。
 今でも地方へ行くと家の横に薪を積み上げた風景を見ることができます。
 都会だと「放火を誘発する」として消防署に指導されそうな光景ですが、地方へ行けばまだ見られます。
 
 この機械の刃物部分は、子供の頃に使った斧の先端によく似ているのです。
 というわけで、この機械を見たときは「すごい機械を作るものだ」と感じた程度でした。
 
 ところが、ニジニ・ノヴゴロドやキーロフのマトリョーシカ工場でこの機械を見ることはありませんでした。

 因みに、日本では、木材をじわじわと刃物に押しつけて薪を割る「電動薪割り機」が使われています。
 こちらの方が鉄塊のような刃物を振り回さないから安全でしょうし、場所もとらないでしょうし・・・・・・

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こんな感じです。

 と、いうわけで、これは不思議な機械なのです。(以上、2011年11月18日の追記でした。)


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 薪割り機?で割った三角柱になった木材をスピンドルターンの旋盤にセットします。

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 スピンドルターンです。
 木柱の両側を固定して回転させ、刃物を当てて円柱を作ります。
 木材は、しっかり固定されますが、内側を削ることはできません。

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 旋盤が、こんな風に並んでいます。
 粗削りした木材からマトリョーシカを削るボールターンの旋盤です。

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 一寸画像がぶれましたが、モーターに木材を固定する部分がわかる写真です。
 まわりを金属で覆った、穴の空いた木材がモーターに固定されています。
 材料の木は予め同じ太さに削ってあります。
 これを水に浸して、この穴に打ち込んで固定します。

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 金槌で木材を打ち込んでいます。

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 小さなマトリョーシカを削っています。
 これは、蓋の開かない一番小さなマトリョーシカです。

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 ボールターンです。
 木材の一方だけを固定しますから、内側も削れます。

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 セルギエフ・パサードのスヴェニールという工場の記録をひとつにまとめる目的で、「絵付け-絵の具」のページの記事をこちらにもコピーしておきまます。

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 セルギエフ・パサートの工場で撮影したマトリョーシカの絵付け風景です。

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 上2枚は2007年、下2枚は1997年に撮影しました。
 最後の1枚がわかりやすい。
 筆にたっぷり絵の具をつけて、べたっと塗り込んでいます。
 ガッシュによる不透明描法です。

 「絵の具はなんですか」という質問に
 「グァーシュ(Гуашь)、テンペラ(Темпера)」という返事が帰ってきました。
 日本語でもそれぞれ、ガッシュ、テンペラと言います。

 セルギエフ・パサードのマトリョーシカは、セミョーノフやキーロフと異なり、白木部分を残すことなく、全体を不透明絵の具で覆って、クリアラッカーをかけます。

 テンペラは絵の具の性質上強く定着するのでクリアラッカーをかける必要はありません。
 油彩、アクリル、水彩などもクリアラッカーを必要としません。
 ただし、工場で大量生産されるマトリョーシカの主流は、ガッシュにクリアラッカーをかけたものです。


 
 2008年の記録です。
 2007年に訪問したとき聞き忘れたことがありました。

 クリアラッカーを塗る方法です。
 なにしろ箱根人形の田中さんに言わせると、塗装の専門業者が匙を投げたというのですから。

 (箱根ろくろ師田中さんについては、筆者の古いサイトと、本ブログで紹介しています。
 ホームページはこちらからどうぞ。
 本ブログの関連記事はこちらからどうぞ。
 また、田中さんの作品がモスクワのマトリョーシカ博物館に展示されるに至った経緯については、ここからどうぞ。)


 因みに田中さんの七福神はガッシュ(ポスターカラー)などで着色したまま、クリアラッカーはかけません。
 また、こけしは、墨、アニリン系絵の具などで描画した後ワックスをかけます。

 玩具博物館の箱根七福神にクリアラッカーがかかっていないことで「安物の偽物」と批判するような文をロシアのサイトで見たことがあります。
 「ムッ」としたのですが、けんかするほどのロシア語力があるわけでなし・・・・
 そんな見方もあるということにしておきます。

 「クリアラッカーを塗る職人は、早朝の涼しい間しか仕事をしない」
 ということで、後日出直すことにしました。
 約束の日通訳に電話がありました。
 「ラッカー職人が病気になった」
 というわけで、2008年も、ラッカー職人さんを撮影することはできませんでした。

 結局、クリアラッカーを塗る風景を撮影できたのは、2010年、キーロフの「スヴェニール」という工場でした。
 この撮影にこだわったのは、彼女(どの工場も女性でした)達が手でクリアラッカーを塗っていると聞いたからです。
 2010年8月段階で、セルギエフパサード、セミョーノフ、キーロフと、3都市4つの大きな工場を見学したことになりますが、どの工場も、手でクリアラッカーを塗っているのです。

 油性塗料ですから当然有機溶剤を使います。
 人間の手も有機物ですから、皮膚の表面が溶けてすべすべになるそうです。

 ところで

 入れ子人形は真ん中で2つに開かなければなりません。

 「上の部分と下の部分が、くっつかないか」と、質問すると、返事は、
 「くっつく。乾いてから両手で圧力をかければ剥がれる」というものでした。
 手で塗るのは、スプレー、浸しかけ、筆などに比べて、安く、速く、綺麗にできるからだそうです。

 昔、塗装職人さんには、午前中に話しかけろと教えられたことがあります。
 シンナーで意識が朦朧として、夕方の話は忘れられることが多いからです。


 セルギエフ・パサードの旋盤職人は、アレクサンドルさんとバレンチンさんの2人だけだそうです。
 実演してくれたのはバレンチンさん。
 説明してくれたのはナージャさんでした。

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